昨年はY.S.C.C.横浜の監督を務めていた。昨年から攻撃的なサッカーを見せていたので、琉球には合うんじゃないかという評判がちらほらあった。YSCCのサッカーチェックしとけばよかった…。
就任コメントの「沖縄の青い空澄み渡る海には、守備的なサッカーは似合いません。」は蓋し名言でしたね。
その言葉通りJ2でもボールを握るサッカーを続けている。開幕6戦まで首位、その後勝ちに恵まれず2ケタ順位まで落ちるという分かりやすい失速を見せているが、スタイルは曲げないつもりらしい。
監督の仕事って、試合中の作戦や采配もそうですけど、チーム全体でどう戦っていくかをまとめるのもあると思うのです。
そういう意味では、選手たちは自分たちのスタイルを貫くという方向で納得しているようですし、ピッチの外でのマネジメント力はあるのかなぁと。タグマの記事を読んでいても、「自分たちの力を100%出せればいいゲームができるし、70,80%なら負けてしまう」という主旨のコメントがあったので、やはりボールを繋ぐスタイルに殉じるつもりのようです。
で、肝心のピッチの中の話ですが、評価が難しいですね。
多分、琉球の予算って、J2レベルではホンッッットに少ないと思うんですよ。そのエクスキューズを考えると、よくやってるんだと思います。
ただ、J3時代と選手以外で何が変わったのか、樋口監督がチームにどんな色を付けたのかというと見えてこない気はしています。
特に失点があまりに多いのが誰が見ても気になりますよね。ここから、
らいかーるとさんの「アナリシス・アイ」を参考にした意見が入りますよ。正しいかドキドキしますねぇ。
サッカーは野球やバレーボールのように攻守を分けて考えることができないスポーツです。
例えば自分たちがボールを持っている状況は、相手が攻撃する機会を奪っていることになります。ボールを持っているチームは、常に攻撃も守備も行っています。
逆にボールを持っていなくても、相手陣地でプレスをかけて速攻を狙う守備をしている状況であればそれは攻撃的と言えるでしょう。
で、琉球の失点でかなり目立つのが「被カウンター」と「セットプレー」ですよね。
「被カウンター」はある意味「ボール保持時」の失策です。攻めきれないまま悪い形で奪われ、速攻を浴びて仕留められる。
「攻めきれない」の原因がチームとして崩す形ができておらず手詰まりになったせいなのか、個人のミスなのか。
前者ならチームとしてトレーニングが必要。後者なら選手に練習させるか、補強するか。
それと、「奪われる」と「速攻を浴びる」というのも実はイコールではないはずで、奪われたときどうするか(誰がボールに行って誰がどこに帰陣するか)を明確にするのは現代サッカーでは必須になっています。琉球に不足しているのはここだと思います。一応奪われたらすぐ奪い返しに行く設計みたいですが、ボールを失ったとして奪い返せなさそうな場所でも繋ぎに固執する場面も多々あります。結局「ボール保持時」の判断の問題です。
数的同数くらいであればJ2のアタッカー陣は仕留めてきます。その点は監督コメントでも出てくるので気付いているはずですが、そこに至るまでのボール保持時の状況をなかなか改善できません。シンプルに攻め切る、ボールを捨ててもいいから裏に蹴って相手のゴールキックから再開させるくらいは割り切りが要るかもしれませんね。
そして「セットプレー」については明確に「ボール非保持時」です。セットプレーそのものとセカンドボールも含めて、守備の強度が足りていません。全体的な高さで負けるのはお金がないから目を瞑るとして(サッカー選手の付加価値は身長と左利きです)、クロッサーへの寄せがもう一歩二歩遠い。ここも改善しません。
上記2点のようにボール保持、非保持両方で守備の課題があります。ここをどうにかできないと、スタイルを貫くのも絵に描いた餅です。
それと、選手起用の采配についても、練習を見てないので何とも言えないんですが、DF陣の負担は大丈夫かなぁと思ってしまいます。紹介してる選手の人数が少ない笑
前線は、まぁまぁ若手も抜擢してますけど。
千葉戦で一瞬出てきた西河翔吾が惨憺たるパフォーマンスでしたが、あれベンチに置き続けて大丈夫でしょうか。増谷瀧澤西岡徳元はルーキーの時から頭角を現してましたし、若いDF陣にも出場機会を作った方がいいような気がします。
そしてそして、最後に逆説で繋ぐ筆者おきまりのパターンですが…ホントに今の予算規模でよくやってる監督だと思います。
誰が見ても攻撃サッカーだと分かるスタイルを一つでも持つことがどれだけ尊いことか。
今から引いて守ってカウンターのサッカーに切り替えるにも、まず編成がそうなってないし、そういう意識でサッカーをしてきた選手があまりいないと思うので、守り切れるか怪しいもんです。大宮戦の後半みたいにサンドバックにされ続けて終戦の可能性もあります。それにロングカウンターだってきちんと設計しないとそれこそただのギャンブルですよ。
だいたいどうやったら勝てるかなんて誰も分かんないんですよ。スタイルを貫いてダメだった、貫いて上向いた、どっちに転ぶかは誰にも分からない。だとすれば、チームがまとまっているのならスタイルを貫くのは一つの解ですよね。その結果を見て次どうするか検討する行為はもちろん必要ですけど。
どうにか今年は残留して、沖縄サッカー界の灯火を消さないようにして欲しいです。